日本の妖怪ブームの火付け役は水木しげるなのでしょうか?
妖怪ブームは、近世以降何度か日本史のうえに確認できます。近代以降は、やはり明治の急速な近代化・西欧化、戦後の高度経済成長期など、社会・文化が大きく変動し、伝統的なものが揺るがされる時代情況で生じているようです。水木しげるの妖怪への関心は、ラフカディオ・ハーンも憧れた境港の風土から発しているようですが、鳥山石燕らの画業を採り入れて、現代の妖怪のディティールの基礎になるものを創り上げました。それまで「妖怪」は地域固有の環境文化であり、姿形は(ゆるやかな列島的共通性を帯びていながら)各地でまちまちでした。それが、水木しげるのマンガ、妖怪図鑑などの出版物を通じて、どんどん「画一的な様相」を呈していったわけです。そういう意味では、水木は第二の石燕であり、現代日本の妖怪を「創った」人物ともいえるわけです。