現在ウサギは命の大切さを知る、というような名目で飼われていますが、戦前・戦中に毛皮・非常食用として飼育されていたなんて、衝撃を受けました。何か、転換の契機があったのでしょうか。 / 一般の家庭でも、ウサギの屠殺を行っていたのでしょうか。

それほど明確な契機はなかったと思いますが、しいていうならば「敗戦」でしょうね。戦前・戦中は、戦争継続の諸物資を確保するため、人間も含め、動物の素材化が著しく進んだ時代です。家族として大切に飼育されていた、犬や猫も供出されてゆきました。各地の集会所に集められて処分され、皮革工場へ送られて加工されたようです。都市近郊も含め、農家や隣接地帯では、当時はニワトリの屠殺や血抜き、羽むしり、調理などは普通に行っていましたし、ぼくの生活していた鎌倉郊外でも、赤犬を料理した、狸を料理したという話は聞いたことがあります。ウサギを屠殺する知識・技術も広がりはあったと思われますが、質の良い毛皮を採る目的もありますので、やはり犬・猫と同じように集められ、専門業者の手に委ねられたのでしょう。