「禹蔵図」が、卜甲や洛書、式盤に至る系譜の淵源という話がありましたが、中国の卜占の起源が出産についてのものだったのでしょうか。

レジュメの書きようが拙かったと思います。「禹蔵図」が淵源なのではなく、新石器時代黄河流域の亀甲容器(安徽省含山凌家灘遺跡出土の玉亀・玉板など)に始まり、殷代の卜甲、「洛書」、式盤に至る卜占のツールの系譜上に位置づけられるものである、ということです。凌家灘の玉板には、中央の円部に放射線状の直線を持った図形が配され、玉亀でこれを挟み小石を投じて振り動かし、石が図形上のどの位置に来るかで吉凶を占ったものではないかと推測されています。亀甲の亀裂に神意が表れるとした卜甲や、そうした観念を発展させた魔方陣の洛書、そして漢代に形式の整う式盤などは、みな図形的によく似た要素を持っています。それぞれを支える思想や卜占の具体的な方法は、厳密には相互に差違がありますが、卜占をめぐるデザインの枠組みのようなものは、恐らく共通しているのだと考えられます。