0-04-01から1ヶ月間の記事一覧
送り火のなかには、川に流す類のものもあります。日本では、長崎の精霊流しが有名ですが、同じような儀式は中国にもありますね。もともと、川は遡って行くと神々や仙人の世界へ、下って行くと死者の世界へ辿り着くという考え方が、アジアのさまざまな説話や…
確かに、今回の東日本大震災においても、例えば欧米と日本の「死に対する扱い」の違いは、明確になったように思われます。例えば報道ですが、日本のテレビなどでは、津波が押し寄せる様子や被害情況を克明に放送していましたが、人々が流されてゆく様子やご…
夕方の時分は「黄昏」と書いて「たそがれ」と読みますが、これは「誰そ彼」の意味、すなわち「あれは誰だ」ということです。薄暗くなり、ものの具体性、輪郭が曖昧になって、知っている人でも見分けがつきにくい。さまざまなものの境界が曖昧になるというこ…
山は、古来から死者の帰る空間とされた地域です。日本列島は地域によって相互にずいぶん異なる、変化のある地形をしていますが、概ね神や死者の住む他界というものは、人々の暮らす日常的空間の外側、通常はその奥地まで足を踏み入れることのない場所に設定…
やはり、橋も代表的な境界のひとつです。まず橋は、川や湖沼などで遮られたあちら側/こちら側を繋ぐもので、文字どおりの境界を意味します。仏教ではこちら側を此岸、あちら側を彼岸と表現しますが、それはそれぞれ俗世、浄土の暗示ともなっています。7世…
少し誤解があるかもしれません。「アジアの伝統的…」と述べたのは、アジア特有という意味ではなく、アジアにおける一般的な境界観に矛盾しないということです。『遠野物語』99話は、アジア各地の説話や伝承に共通する要素を多く持っている、といえます。
例えば、フロイトの見出したエディプス・コンプレックスなどは、物語りの負の面を表現した言説といえるでしょう。個人の成長過程において、異性の親から愛されたい/その親を独占したいという気持ちと、同性の親に感じる畏怖・嫉妬/同性の親を殺害したいと…
法会・法要などの場は、古代から物語を生産する場所として重要でした。日本最古の仏教説話集である『日本霊異記』には、そうした場でなされたらしい、故人顕彰の要素を含む経典の例証話が多く収録されています。現在でも、法事のあとの会食の場で、故人をめ…
東アジアにおいては、災害による死者を含む「非業の死者」をいかに扱うかが、長年にわたる課題のひとつでした。そもそも儒教の祖先祭祀においては、非業の死者は自族の宗廟においては祀らない決まりでしたが、そのことによって一定の祟りなす霊を生み出して…
どうでしょうねえ。ぼくは構築主義者ですので、言葉に本質的な意味はなく、その都度の情況に応じて社会的に構築されるものだと考えています。「心理」は学術用語(翻訳語)ですので、やはり心理学の定義に従うべきでしょう。「死」とは、日常レベル、自然科…
両方ですねえ。20年余りも研究を続けていますと、自分のなかに様々な蓄積もありますので、テーマに沿ってある程度の仮説は立てられますし、どんな本を読めばいいかも分かります。しかし、改めて調査を進め、史料や研究文献を読んでいるうちに、その仮説が覆…