2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧
このことについては、いろいろな解釈が可能でしょう。宮澤賢治の作品を思想史的に解釈するなら、例えば、彼の信仰した『法華経』の薬王菩薩本事品に描かれる、自らの身体を燃やした火光で世界の闇を照らすという、焼身供養に起源しているのだと説明できるで…
「やまびとは消えたのか?」という問いは、実体的な山人を指して発したのではありません。差別的な表象を付され、ときには権力によって抑圧され、そして近代化のなかで消滅を余儀なくされた人たち…。そうした人たちは、なぜ消えたのか。時代に合わなかったか…
1918/2/1付の、父政次郎宛書簡43の問題ですね。宮澤賢治はこの手紙のなかで、次のように書いています。「次に徴兵の事に御座候へども右に就ては折角御思案下され候処重ねて申し兼ね候へども来春に延し候は何としても不利の様に御座候 斯る問題はその為仮令結…
優しい意見ですね。ひとつ誤解があるかもしれないと思うのは、非難と批判とは異なる、という点です。非難には「咎める」といったニュアンスがあり、相手の人間としてのあり方も含め、「正す」という行為になります。場合によっては、人格否定を含むこともあ…
近代日本の毛皮養殖については、近世までに北方地域で行われていた毛皮交易の歴史を踏まえて行われています。日本は中世辺りから本格的に参入してゆきますが、古来、中国王朝とその北方周辺地域で珍重された毛皮は、最高級のものがクロテン、そしてギンギツ…
歴史学や民俗学、民族学(文化人類学)は、それぞれ対象や方法論、学問的伝統が異なりますので、隣接する分野ではありますが同じ学問とはされていません。歴史学が、文字で書かれた記録=史料を素材として過去の事実を追究してゆくのに対し、民俗学は、口頭…
武家政権の力が強くなってゆくと、朝廷の権限であった改元も、幕府側、もしくは武家の主導者の要請によって行われることが多くなってゆきました。江戸幕府に至ると、「禁中並公家諸法度」によって、朝廷は元号の考案は行うものの、施行の権限は幕府に掌握さ…
盛岡の毛皮獣養殖所については、もともと農林省や軍部の後ろ盾があって運営されていた施設でしたが、戦後毛皮獣の需要がほぼなくなってしまったこと、帝国の諸機関が解体されて運営の基礎が消滅してしまったことから、なし崩し的に廃絶に至ったと考えられま…
これについては、少し誤解があるかと思います。授業では、旅人による隼人の反乱の鎮圧の問題を指摘しましたが、それは彼自身が、人間として残虐であったということを意味しません。大伴氏は、氏族として王権の直轄の武力であり、時代が氏族制から律令制に移…
今回の毛皮獣の件は、いってみれば偶然がもたらしたものでした。少数民族政策の勉強のためにロシアへ留学していた元教え子から、「こういう話があるんですよ」と教えて貰ったのです。ロシアでは現在でも、必ずしも毛皮をとるためではなく、キツネをペットと…
もちろんそれだけではありませんが、魔女に自然=女性のカテゴリーを読み込むことは容易です。彼女たちはキリスト教に敵対し、森林に住み、同様の属性を持つ猫や狼を使い魔にしている。統計を取ったことがないので正確にはいえませんが、ヨーロッパの伝承世…
まず、「日本人」が何を意味するのかが問題ですね。国際的基準で判断すれば、「日本国籍を持つ者」のことなので、アイヌの人びとも、国籍があれば「日本人」です。また、彼らも列島のなかで社会・文化を育んできた人びとであり、12世紀以降の、列島と北方地…
そうですね、確かに。列島社会では集団性、つまり共同体の規定力が非常に大きく、それに順応すること、適応することが求められます。個々人がそれに対応することで、より共同体規制は強固になり、全体の力は明確になってゆきます。問題は、誰かがそこから外…
そうですね、いわゆる国、国民のイメージなどというものは、すべてそうです。個々に還元したときには意味をなさない場合もある。しかし、それを集合的に語ってしまうところに、問題の面白さや、同時に危険性もあるわけです。ゆえに、「そんなの人それぞれじ…