立教大学環境論(15秋)
・動物論 http://gg0.xyz/rQJh
これも深いですね。結局、リアルということは、実写であるのかアニメであるのか、という区別にはよらないのかもしれません。以前、フルCGのアニメーションが流行したとき、その動きにリアルさを与えるために、実際の俳優の身体に座標入力装置を取り付け、動…
深い質問です。人間は自然環境から多くのこと・ものを贈与されつつ、そのほとんどについては意識すらしていないと思います。例えば、生存の贈与の第一条件たる空気について、酸素を吸いながら、世界に負債感を持つ人はほとんどいないでしょう。贈与の質・量…
最後の授業でも話しますが、もちろん本人の嗜好の問題は否定できませんが、環境問題に真剣に向き合わざるをえない未来の子供たちのために何をすべきか、いまどのようなことを示して考えてもらうべきかは、常に念頭にあるようです。そうした使命感が、常に彼…
残念ながらありません。ぼくは宗教上は無神論者なので、そうしたフレームで世界をみているからでしょうね。
同じ性質を持つものと考えてよいですが、前者は『華厳経』、後者は『大日経』などに説かれる存在で、いわば依拠する経典、教学のあり方が異なるのです。
神聖なるものは具体的には表現できないために樹木や法輪によって表していた、これはやはり、明文化された法律というより一種の共同体規制であったと思われます。神像を多く造形していたギリシャ文化の影響で、聖なるものを擬人化した仏像が造られるようにな…
人柱は供犠の一種ですが、神に生け贄として捧げられるわけはなく、柱として城や橋などの建築物を支えるものです。よって、人体自体を柱とする、その生命をもって困難な工事を完遂させるという残酷さを伴います。かかしはヒトカタでしょうから、宗教的にみれ…
トトロに登場するのは、クスノキですね。かなり巨大になる常緑高木ですので、やはり神木に祀られる場合の多かったものです。ちなみに、樹木の洞から根の世界へゆくという発想は、古く『古事記』上/神代に出てきます。ヤソガミたちの迫害を受けたオオクニヌ…
神話で語られるたいていの人類の起源は、神の子、もしくは似姿を持つものといった性格があり、それが尊厳の根拠のように位置づけられます。すでに授業でお話ししたように、狩猟採集社会のアニミズムにおいては、精霊は人間と同じ姿のものが、クマやトラなど…
祭祀の種別や情況、それの斎行される時代・社会によって違いがありますが、例えば樹木を柱化する祭儀の過程で、樹木の生命そのものともいうべき樹神が、建築物の守護神的存在へと転化されてゆくといったことがあります。天皇が日常的に起居する宮殿を鎮祭す…
これは面白い質問です。というのは、自然を大切にしているかにみえるいわゆる「もったいない」という発想は、自然を資源としかみなくなってゆく一過程と捉えられるからです。神に対して何かを供える場合には、自分にとって最も大切なものを供えなければなら…
一般的には、神聖な領域の出入り口を画する門を意味しています。神聖な領域と一般の空間とは、目にみえない境界で隠されており、一定のセオリーを順守しなければ「越境」することができないと考えられていました。参道はその唯一のルートで、鳥居はそれを段…
領域国家成立以前から、権力の象徴だったわけではありません。例えば縄文時代には、授業でもお話ししたように死と再生のサイクルが自然そのものとして崇められていましたが、その表現のひとつとして、生殖器信仰が盛んでした。男根や女陰を継承した石器を立…
英雄の異常出生譚のひとつで、うつぼ船型などといわれる神話素、話型です。中空になった船に入った母子や赤子が漂着し、育てられて英雄や救世主になってゆく。モーセのほかにも、ギリシャ神話のペルセウス、中国夏王朝の建国の英雄伊尹など、数多く存在しま…
講義でお話ししたように、柱を樹木の代用にする文化は各地にありますが、それも樹木の生えていることが前提ですからね。しかし、現在のペットなども、人間が完全にコントロールすることができないように、ドメスティケートされた動物や植物も、完全に文化の…
もちろん、樹木や水ばかりが重要なのではありませんが、世界の神話一般のなかで、割合普遍的に語られることの多いモチーフと思います。それはやはり、水にしても樹木にしても、人間が生命を繋いでゆくうえで欠かせない存在だからでしょうね。多い地域ではそ…
この講義の初めのほうで触れた狩猟採集民の話、今回は縄文のクリの話、あるいは竹の話でも触れたように、自らの生活や生業と密接に関わる動植物が、信仰の対象となる場合が多いようです。つまり、それが世界に存在しなくては自分たちが生きられない、いうな…
セイヨウトネリコは、確かに落葉樹ですね。スカンジナビア半島周辺には広く自生していた樹木ですので、北欧の人々にとって馴染みの深いものであったことは確かでしょう。また、アジアにおける竹のように回復力が強く、10年程度のスパンで伐採できたので、多…
可能性はありますね。フィドルがどの程度の時期にサンタル族へ入ってきたものかは分かりませんが、それほど古くまで遡ることはできないでしょう。フィドル以前は、別の伝統的弦楽器が語られていたものと思われます。
サンカについては、三角寛によってフィクショナルに創作されてしまった面が強く、実態はよく分かっていません。日本列島の非定住民・漂泊民については、かつて一部の民俗学者が構想したように列島の原住民であるわけでも、古代・中世から連綿と存在した「ま…
授業でもお話ししましたが、日本の『竹取』も、樹霊婚姻譚的想像力を背景に成立したといってよいものだと思います。『竹取』では、「斑竹」における息子の役割が、翁と天皇とに分割されている印象です。翁は姫をみつけて育てる役割、天皇は恋人的な役割を担…
人類学的理解において、近親相姦のタブーは、女性の交換を実現するためのものとみられています。小集団で移動生活を行っていた時代の人類にとって、同一集団内での交配を繰り返すことは、劣性遺伝のみならず、単純に数量的縮小を招く怖れのある行為でした。…
世界そのもの、あるいは世界を構成する諸要素の起源と、現在に至る過程を物語ることで、個人なり、何らかの共同体なりの生活を規制するのが、そもそもの神話のあり方です。一般的には「古代に語られたもの」を指す場合が多いのですが、現在では、中世には中…
持続可能性自体の意味を問うことが、まず重要です。一般的にいわれる持続可能性とは、人間が現在の文明の水準を維持するために、自然環境をいかに破綻なく使用してゆくか、その「持続」を指示しています。すなわち、人間の利益に立った利己的なものでしかな…
3は、数学的には次元を確定する要素とされ、中国では紀元前の殷王朝の時代から、卜占で使われる聖数となっています。後に天・地・人を象徴するものと意味付けられ、それこそ天下を表す鼎が3b本足であるなど、多くの表現がみられます。しかしハイヌヴェレ神…
仏教では8という数字が、悟りを象徴するものと考えられ、例えばブッダ入滅後の救世主である弥勒菩薩が出現するのは、「56億7千万年後」、すなわち5→6→7→8=出現といったあり方で語られます。もともとは、方向を意味した聖数の基本である4が、さらに細…
そうかもしれません。中国西南の少数民族では、結婚相手を選ぶ際の歌垣、結婚式などでも、男女の掛け合いの歌が、性的表現や笑いを交えて行われますね。そのあたりのサンタルの民族を充分調べられていないのですが、可能性はあると思います。
山伏の修行するような場所は、かなりの奥山です。平安期には、古記録に修験道の人々の話題が出て来ますが、彼らも鞍馬や熊野など、かなり奥地の峻嶮な場所を修行の舞台としています。それらは、水田化と柴草山化の波からは逃れる場所にあったと思われます。…
前者は通説、後者は肥料の問題から再考を要求した新説ですね。貨幣経済の浸透の問題は否定できないでしょうが、肥料の件はこれまであまり指摘されてこなかったことですので、今後重要視されてゆくでしょう。また、「金を支払わないと充分な肥料が得られない…