ジャパノロジー概論(18春)
これは、蛇についていえば最も古い、死と再生の象徴ということになるでしょうね。モノの表象は、時代的に何が支配的になるかという変遷はありますが、例えば前時代のものがある時期にまったく生滅してしまい、別のものと入れ替わるということはあまりありま…
確かに最近は女性が多いようですが、かつてはほぼ男性の職業だったので、あまり象徴的な意味はないかもしれません。最近の傾向は、占い師にカウンセラー的な役割や、母親的な癒し/叱正を求める意識が強くなってきたからではないでしょうか。ただし、以前私…
大事な視点です、もちろんそうでしょう。授業でお話ししたのは、あくまでイデオロギーとその内面化の問題です。人類学や歴史学で差別を扱うとき、必ず付随する問題として、抑圧面ばかりを強調しすぎると被差別者の主体性が剥奪されてしまい、かといって逆に…
『小栗判官』に登場する下半身が蛇の女性は、物語りに京都・深泥ヶ池の大蛇であることが明記されています。『北條時頼記』の弁才天も、弁才天自体が水神であり、半人半蛇の神格であることが形式です。『廿十四輩巡拝図会』も、やはり本文に、蛇女が訪ねてき…
いわゆるルッキズムですね。蛇身の女性が美しく妖艶な存在として表現されるのは、それが信仰の対象であった頃の名残でしょう。弁才天が美しいのと同様の意味です。しかし、江戸中期以降の近世怪談になると、蛇の性質を持っていながら「醜女」と表現される例…
いろいろな説明の仕方ができると思いますが、ひとつの契機は水にあります。蛇が低湿地に住み、常に水との関わりにおいて語られてきたことはお話ししましたが、実は女性も水との密接に関連付けられ、語られてきました。月や潮の干満は女性と同一のカテゴリー…
一応は日本の話ですね。中国では、仏教文化が東アジア的なものへ大きく開花しますが、一方で、それらと交渉しつつも独自の価値観・世界観を持った道教、儒教などが存在した。中国仏教も蛇のありようを攻撃していますが、その影響は、道教や儒教、あるいは一…
インドでも、やはり仏教との関係で龍蛇は貶められています(授業で紹介した、瞋恚を抑えられない者の蛇蝎への転生を説く『成実論』も、インドに由来し(ただし、サンスクリット本はみつかっていません)鳩摩羅什によって漢訳された経典です)。それはまず、…
いやー、メルヘンやロマンを伴うものとしてお話ししたつもりは全然ないのですが…前近代の思考様式は近代以降のものとは違うので、現代人からみるとファンタジーに映ってしまうのかもしれません。しかし、彼らにとって、それがひとつの現実であることも確かで…