非・場所の話を聞いて、大手チェーンが戦略的に地方へ店舗を増やす様子を思いだしたのですが、これも侵略といえるのでしょうか。

情況によっては、新自由主義による公共性の破壊の問題に連結してきます。例えば現在、卸売市場法の改変に伴い種々の規制緩和がなされ、本来公共の空間であった地方卸売市場の跡地・隣接地が、イーオンやいずみやなどの大規模資本に独占されつつあります。改定市場法が施行され、民間業者でも市場開設が可能になれば、そうした大規模企業が開設者に名乗りを上げる可能性が高く、もしそうなった場合公正な市場運営が行われるのかどうか、危惧されているところです。また、東日本大震災で被害を受け、更地になった地域に再開発の手が入り、やはりイオンモールなどの大規模店舗が展開する事例は枚挙に遑がありません。消費者にとっては便利な面もありますが、地域に経済的利益はなく、より競争力の小さな個人経営店舗などは廃業に追い込まれてしまうでしょう。ナオミ・クラインは、これを〈惨事便乗型資本主義(disaster capitalism)〉と呼び、注意を促しています。