2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧
はい、市販されています。大祓の祝詞はいろいろな形で入手できると思いますが、今日使ったのは、葉室頼昭『CDブック 大祓 知恵のことば』です。熊送りの方は、『熊送り イヨマンテ』(キングレコード)を使用しました。
コトバが現実世界に変化をもたらす、という意味では共通しているかも知れません。しかし、言霊はアニミズムがコトバにも及んだものですが、東巴経を読み上げたコトバには精霊が宿っているわけではないでしょう。中国の『詩経』には、詩とは神々の心を慰め感…
タイの文字はシャム文字ですね。納西族以外に使われていません。デザイン文字として、サブカル的に普及している節もありますし、雲南省とタイとは南方で境界を接していますので、トンパ文字の商品がタイでも売られているかも知れません。
そうですね。まず今日の東巴経の太鼓のように用いるものには、仏教の木魚(真宗ではかわりに節拆という拍子木を用いる)などがありますが、これは拍子を取るためのものです。他には東巴の銅鑼のように、歌謡の節目節目に為らす大小の鏧や磬といった叩きもの…
「送ったのに受け取っていない」という誤解の生じることがありうるので、原則としてプリントアウトしたものを提出する、ということにさせてください。もし何かやむをえない事情があれば対応します。
まがりなりにも統治は成り立ち、国家は運営されてきたので、支配機構として一定の役割は果たしたと思われます。古代などの古い時代になると、支配者と一般民衆との間にはずいぶん距離があるように思われがちですが、例えば条例などを知らせる告知札木簡など…
古代の官職について調べるのなら、阿部猛編『日本古代官職辞典』が便利です。律令の条文に則した職務内容・人員・制度の変遷などの概説に、現在の研究情況や主要参考文献も付されています。
当時の木簡などには下級官人の病による休暇願も多く、衛生的には整った環境ではなかったことが指摘されています。天然痘は飛沫感染や接触感染で、貴族たちは病者には近寄らない措置をとったはずですが、宮廷や邸宅などでは多くの下級の職員を抱えていたため…
冬に出来た天然の氷を、氷室という貯蔵施設で保管し、夏に利用していたのです。氷室は山中の洞窟などを利用しますが、地下水の気化熱などで外よりも冷涼であるため、氷をある程度保存することができたのです。長屋王の利用していたのは都祁氷室だったようで…
丁重に扱おうとすればそれなりに手間がかかりますが、廃棄する前提で火葬にするなら簡単です。人体にもずいぶん脂分がありますので、ある程度火がつけばよく燃えるのです。中国雲南省の少数民族では、今でも村の傍らの畑で死者を火葬にしています。
そうですね。『霊異記』撰者の景戒は宮廷と関わりのある人ではありませんが、長屋王事件がなぜ起きたのかは正確に把握していたのかも知れません。つまり藤原四子が狙ったのは、皇位継承権のある長屋王と、吉備内親王との間に生まれた皇子たちだったというこ…
大伴宿禰子虫が長屋王の冤罪を疑っていなかったとすれば、中臣宮処東人はまさに虚偽の密告をした犯人として許せなかったことでしょう。配下に慕われた長屋王の一面が分かる事件とはいえ、これ自体は個人的な恨みによるものでしょうが、それを『続日本紀』が…
古代日本においては、古墳時代中期から水の祭祀が極めて重視されていました。聖なる山の麓の湧水点を祭祀したり、あるいは川などから濾過した浄水を邸宅に引き込み、外から遮断された空間で秘密の祭祀を行ったりしました。その方式は飛鳥時代以降の宮都にも…
講義でも少し触れましたが、私見では「不改常典」、すなわち現天皇が後継者を指名する形式を徹底させるためと理解しています。古代日本の皇位継承法は時代によってずいぶんと揺れがあり、そのことが候補者間の内紛を誘発することに繋がってきました。持統・…
そうであったら面白いのですが、現在の壬生は、湧水が多かったために「水生」と称されたことが起源であるようです。湿地帯なんですね。
残念ながら、葛野大堰に関する文献史料は講義で挙げた『政事要略』のものだけなので、成立過程に関する具体的なことはよく分かっていません。考古学的には、渡月橋の南東傍らから、古墳後期の大溝(大堰からの水路)が発掘されていますので(松室遺跡)、6…
直接的には次男のことを指します。民間信仰の世界では、この李二郎をモチーフとして二郎真君という英雄神が誕生し、『西遊記』や『封神演義』といった伝奇小説・演劇などでも大活躍します。「二」の意味についてはいろいろ考察することが可能ですが、家制度…
かつては、例えば国家仏教の官寺などの活動は民衆にとって無縁であったと考えられていましたが、近年の研究によって、国家公認の官僧が広く地方へ赴いて一般へ布教したり、東大寺のような大寺院へも庶民が参詣していたことが明らかになってきました。古代人…
狩猟採集社会においては、それぞれの自然環境を象徴するような動物が、「主」として信仰されていたようです。例えば、湿地帯における蛇、山における熊、海におけるシャチといったような存在です。牛や馬は水辺に生息していたので、水と関連付けられて神格化…
当然そうですが、逆にいうと、時々は氾濫が民衆に被害を与えなければ、広隆寺の恩寵が際立たないということもあります。被害が生じたときには、「民衆の側に災害を被る必然性があった」などと喧伝することで、治水機能が発揮されなかった言い訳をすることが…
公認/非公認というより、李冰の背景に王権の権威が存在することの暗示とみてとれるでしょう。『日本書紀』や『常陸国風土記』の神殺しの伝承に、「たとえ神であっても、天皇の命令に逆らうことができようか」といった、英雄が皇権によって支持されているこ…
やはり神婚という形式を前提としているので、初婚=未婚の女性を神の相手に選ぶというのが慣習だったのでしょう。この点、中国と日本には少々差違があったようで、近年の日本古代祭祀の研究によれば、古代の神に仕える女性は(奉祀期間に精進潔斎していれば…
秦氏の葛野定着を偶然ととるか、それとも王権の意志の介入を考えるかによって、位置付け方は違ってくるでしょう。私は講義でお話ししたとおり、両方の面があると思っているのですが、いくら渡来系であるからといって、秦氏のすべてが治水技術に秀でていると…
近年、ぼくの民俗学の師匠新谷尚紀氏が、貨幣は死を象徴する空虚であるという文章を書いています(広瀬和雄編『支配の古代史』所収)。古代日本に初めて登場した貨幣=富本銭は、「富民の本は貨殖にあり」という漢代の思想を輸入したものですから、完全な厭…
ある氏族もしくは共同体において、神婚や神の子の物語は、氏族の長の家が始祖を語る際に用いられる言説形式です。つまり神の子は、自分たちが神の子孫であることを示すために政治的に創られてゆくのです。典型的なのは、『古事記』にも『書紀』にも載る三輪…
もちろん、この違いは意図的なものです。具体的な内容では、例えば天地開闢の描き方があります。『書紀』はアジア的スタンダードの陰陽説に則って、混沌のなかから気の働きによって天地が生まれるさまを記述しています(高天の原は登場しません)。それに対…
流水はやがては海に流れ着き、海は穢れのたどり着く「根の国」に通じているとみられていました。これは大祓の祝詞に明記されていることで、だからこそ呪物や祓物が水路や川に投じられたのでしょう。古来、流水が禊ぎの場として機能していたこととも関係する…
土馬は、講義でも触れたように、自分で走ることができないよう足を折って流します。難波宮跡からは、7世紀に属する最古の絵馬が20枚余り出土していますが、やはり足の部分を折り割ったものが複数見受けられます。当初は、土馬と同じような利用の仕方をして…
井戸は、埋め戻すときにゴミの投棄場所ともなりますが、問題の人形は捨てられたのではなく、あえて水中に投下されたとみられています。これは結局、呪物を土に埋めたり火で焼いたりするのと同じことで、実際に呪詛の対象へ被害を与える霊的存在へ手渡す、他…
土馬や人面墨書土器を使う方法はお話ししましたが、基本的には、祓具に穢れを付着させて流すのが一般的であったと思います。6月・12月に天下の罪・穢れを一掃する大祓では、根こそぎ刈り取った罪・穢れを川、海の神々が運搬して根の国・底の国まで破棄し滅…