2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧
もちろん渡来人による伝聞もあるでしょうが、中国王朝と国交が開かれていた時代には、使者が直接現地へ行って目撃してきています。唐長安城をめぐる最新の情報は入手することができず、そのため藤原京は充分な「中国の再現」には至っていませんが、少なから…
奇跡というのならば、藤原京などが完成すること自体が奇跡です。また、多くの奇跡が「伝聞」によって形成されるように、伝説や神話の類も奇跡を構成しうるのです。天皇の権威を受けて行われる神殺しなどは、まさにその類のものでしょう。また『日本書紀』を…
国風諡号も漢風諡号も、平安時代には途絶してしまいます。以降の天皇は、居所や所縁の深い場所に因む追号を贈られるのみになってゆきます。近代以降は一代一元の制度のもと、皇位に就いていた元号がそのまま諡として使用されているわけです。
国風諡号はヤマト言葉で作られているので、もともとの発想としては、必ずしも文字を伴う必要はなかったと思われます(その根源は諱であるか、あるいは宮号など公的な場で用いる号であったのでしょう)。一般民衆が神の名を呼ぶように、恐れ憚りつつ口にする…
律令は法家思想と儒家思想の融合からなっていますが、法律を支える思想、倫理・道徳自体は儒教のものです。よって、条文のあらゆる点に儒教の発想をみてとれます。位階について定めた官位令、位階や場所、儀式などに応じて服装を定めた衣服令、故人との関係…
史料というのであれば、やはり『日本書紀』が明確です。百済関係の文献も引用されており、研究が進んでいます。岩波書店の日本古典文学大系や小学館の新編日本古典文学全集など、注釈書も充実しています。ただし分量が多いので、何か朝鮮半島との関係を研究…
大丈夫です。これまで他の質問にも答えてきたように、問題意識を明確に書く、古代のなかでなぜ死生観、宗教観をテーマにする必要があるのか、その正当性をしっかり述べることが大事です。
何度か説明しましたが、古代の事例を扱う限り、講義で触れた内容は必ず絡んでくる。そのとき、授業でどのような説明の仕方をしていたかがきちんと踏まえて書かれているかどうか、ということです。歴史に対するものの見方、例えば東アジアの視点でみてゆくと…
国立歴史民俗博物館の松尾恒一先生が製作した、『薬師寺 花会式−行法と支える人々−』です。非売品ですので、頒布を受けた人、施設しか所有していないものです。
いわゆる「古小説」というジャンルは、novelの訳語に相当するような近代小説ではなく、世間話や噂話、伝承など広い範囲の物語(ナラティヴ)を意味します。六朝には、主に志怪、志人の2つのカテゴリーがあり、前者は怪異譚、後者は人物の逸話を収録していま…
儒教や仏教と異なり、日本には道教が体系的に輸入されませんでした。というのは、六朝以前の道教が多く民衆反乱の温床となったためです。よって道教経典は、日本へ入ってこなかったのです。しかし、中国道教は医書や仏書とも融合していましたので、断片的知…
確かに古くから、下痢や嘔吐を伴う病は悪い水によるとの認識があり、それによって水によくないものが存在する、という発想が生まれてきたことは確かでしょう。あとは、洪水に関する経験ですね。このあたりは以前何度か書いたことがあるので、例えば『歴史家…
最後に少し扱いたいと思うのですが、『抱朴子』は日本ではよく読まれます。修験道には、仏教や陰陽道が影響を与えていますが、これらを介し、間接的には大きな影響があったと考えるべきでしょう。
今回授業でもお話ししましたが、主に陰陽五行の論理に基づく干支で決められます。例えば保日、伐日などですね。十干を五行で分類すると、木=甲乙:火=丙丁:土=戊己:金=庚辛:水=壬癸。十二支は少し複雑で、2つ進むごとに「中央」を意味する土が入り…