歴史学をめぐる諸問題(09春)

今日、講義で使った大祓の祝詞や熊送りのCDは、一般に市販されているものですか。

はい、市販されています。大祓の祝詞はいろいろな形で入手できると思いますが、今日使ったのは、葉室頼昭『CDブック 大祓 知恵のことば』です。熊送りの方は、『熊送り イヨマンテ』(キングレコード)を使用しました。

東巴文化における〈読む〉ことの宗教的威力というのは、言霊の力と似たようなものでしょうか。

コトバが現実世界に変化をもたらす、という意味では共通しているかも知れません。しかし、言霊はアニミズムがコトバにも及んだものですが、東巴経を読み上げたコトバには精霊が宿っているわけではないでしょう。中国の『詩経』には、詩とは神々の心を慰め感…

タイの文字が確かトンパ文字という名前だったと思いますが、東巴と関係があるのでしょうか。

タイの文字はシャム文字ですね。納西族以外に使われていません。デザイン文字として、サブカル的に普及している節もありますし、雲南省とタイとは南方で境界を接していますので、トンパ文字の商品がタイでも売られているかも知れません。

祭署でなくとも、仏教の法要でも共通することですが、読経の際に「叩き物」の楽器を用いることが多いように思います。「叩く」という行為は、読経に際しどのような意味を持ったのでしょう。

そうですね。まず今日の東巴経の太鼓のように用いるものには、仏教の木魚(真宗ではかわりに節拆という拍子木を用いる)などがありますが、これは拍子を取るためのものです。他には東巴の銅鑼のように、歌謡の節目節目に為らす大小の鏧や磬といった叩きもの…