鹿と鳥への注目について、もともと日本にはたくさん鹿や鳥がいて、縄文期までは「そのへんにいる肉」程度だったものが、稲作に関連して意識されるようになったということでしょうか。

概ねそのとおりですね。縄文人が鹿や鳥を単なる「肉」として捉えていたかどうかは分かりませんが、熊や猪ほどには注目をしていなかったものと思います。大陸や半島からもたらされた習俗がきっかけとなり、また自らも稲作農耕に従事してゆくなかで、弥生時代の人々は鹿や鳥に重要性を見出したのでしょう。ちなみに、現代の北方ユーラシアにおける狩猟採集民も、トナカイなど鹿類を主な狩猟対象としています。彼らのなかには、鹿類はこれを統括する神霊(動物の主)が、人間に食糧として送ってきてくれるものとする信仰が息づいているようです。やはり「肉」なんですね。