日本人が多神教だというところに疑問が出てくる、というくだりがよく分かりませんでした。

確かに、日本人は多くの神仏を崇めていますが、本当に各々の個性を認識しているかどうかが問題です。ここは病に霊験がある、ここは縁結び、といった機能的な区別はしていますが、それら神仏の来歴や個性には注意を払っていません。毎年正月に、最も多くの初詣客を集める明治神宮ですが、そのなかで神宮の祭神である明治天皇を崇めている自覚のあるひとは、どれくらいいるでしょう。そう考えると、少なくとも現在の日本人は、表面的には多神教を装っていても、その根底においては等しくひとつの〈大きな存在〉に依存しているように思えるのです。