自然との関わりを描くジブリアニメは、その意味で、日本以外の国々ではどのように受け止められているのでしょう。

講義でも触れるつもりですが、例えば自然/人間の関係を二項対立的図式で捉えた『もののけ姫』は、かえって欧米での上映の方が宮崎駿の意図をストレートに伝達できたようです。あの作品のテーマは、自然/人間の力関係が決定的に塗り替えられることにより、人間の畏怖する太古の原始林は姿を消し、すべてコントロール可能な明るい里山に変えられてゆく歴史的な瞬間を描くことであったわけですが、自然への依存心(甘えの感情)の強い日本人は、「どんなに人間が悪さをしても、最後には偉大な自然が優しく包み込んでくれる」という全く逆の受け取り方をしてしまったようです。このあたり、日本人のいびつな自然観を示していて興味深い問題です。