馬といえば、釈迦生誕も馬上がきっかけであったのではないでしょうか。梅原氏の論はキリスト教のみに偏っているので問題だが、「馬と聖人」というワードを繋げるという点では面白い。

古代インドでは、アシュヴァ・メーダという王妃と犠牲馬との交合祭儀があり、それによって王は豊穣と宇宙の支配権を保証されたようです。共同体祭祀における馬と女性との繋がりはアジア世界に広く認められ、日本の東北地方にもオシラサマ信仰として確認することができます。最近、古代史研究者の平林章仁氏は、スサノヲ追放のきっかけとなる、アマテラスの斎服殿への天斑駒の投入神話に、アシュヴァ・メーダの影響をみようと分析を続けています。平林「スサノヲ神話を読み解く」(遠山美都男編『日本書紀の読み方』講談社現代新書)などを参照してください。