民話伝承などを扱う民俗学に関心があります。入門的に読める本はありますか?

書店にゆけば、民俗学の入門書はたくさんあると思いますが、ぼくがお薦めしたいのは、小松和彦さんや赤坂憲雄さんの本ですね。とくに、小松さんの『異人論』(ちくま学芸文庫)・『憑霊信仰論』(講談社学術文庫)、赤坂憲雄さんの『異人論序説』(ちくま学芸文庫)・『遠野/物語考』(同)は必読です。ぼくも学部生時代に読んで大いに感銘を受け、こうした学問をやりたいなあと強く感じたものです。ところで、四ッ谷周辺にも面白い言い伝えのあるところがたくさん残っていますよ。紀尾井ホールとニューオータニに挟まれた紀尾井坂の入り口(迎賓館側)は、かつて喰違御門と呼ばれた江戸城の外門のひとつだったのですが、人を首吊りに誘う縊鬼という死霊が出たと記録にあります。また、そこから迎賓館方面へ抜けて赤坂へ降りてゆく紀伊国坂は、小泉八雲『怪談』でのっぺらぼう(狢)が出たと語られた場所です。『四谷怪談』で有名なお岩稲荷もありますし、番町は皿屋敷の舞台です。伝承を探して歩き回ってみてはいかがでしょう。声をかけてくれれば案内しますよ。