神聖視されるのとは対照的に、忌避された動物にはどのような存在があったのでしょうか?

例えば蛇などが代表的でしょう。奈良時代以降、主に仏教の影響によって瞋恚(怒り)の権化、執念深い動物といった印象が強められ、それが女性蔑視の視角と結びついて、蛇=女性という認識が広まります。有名な「道成寺縁起」に登場する龍蛇=清姫など、仏教や男性にとって最も忌むべき存在として描かれています。しかし、時代を遡った縄文期には、原始農耕の始まった長野県辺りで土器のレリーフに用いられており、湿地や藪沢に生息することから水や雨と結びつけられ、水神として崇められた痕跡が窺えます。脱皮を繰り返すことから再生のシンボルとしても信仰され、その独特な形状から、男性象徴や雷などとも重ね合わされて神聖化されてもいました。忌避される、畏怖されるということは、常に神聖化と表裏一体のアクションなのだといえるかも分かりません。