動物が神聖視される基準とは何でしょう。犬や猫のようなペットになる動物、牛・豚などの家畜は神聖視されにくいのですか?

その基準は、一概に「これこれ」とはいえない多様で複雑なものです。現代人の私たちにとって最も身近な犬、猫でも、神聖化されることは多々ありました。古代エジプトで猫が崇敬されていたことはよく知られていますが、近世以降の日本では、鼠を捕る性質が「穀物を守るもの」としての信仰を生じ、米倉に猫絵を貼るなどのお呪いが流行ったようです。また、真夜中に行灯の油を舐める化け猫や、老猫の尾が二つに分かれる猫又などの妖怪が畏れられていました。アニミズムの色濃い日本列島では、どんな動物にも神聖化の契機はあったといえるでしょう。