皆さん、期末テストお疲れさまでした。下記に、平均点・最高点と解答を掲示しておきましたので確認してください。実際の得点は、模範解答と比較して勘案して計算しました。なお、最終成績は登録し終えましたが、出席と中間・期末2テストを受けた人は、少なくともFにはならないよう配慮しました。危機感を抱いていた人は安心してください。

【平均点(最高点)】 35.07(47)
【模範解答】
1-問1……A)伴善男。足に浅沓を履いておらず、清涼殿にて天皇源信を讒言した後とみられる。炎上する応天門から逆勝手に現れ、後ろ姿で描かれている点も事件の中心をなす人物との演出である。顔の顔料が白土である点も、大臣より下の職位であることを示している。B)藤原良相。複数の説が並立していたが、近年の蛍光X線分析により、顔の顔料に鉛白が用いられている点から、大臣以上の人物であることが判明した。物語の登場人物のうち、大臣以上の職位を持つのは藤原良房源信藤原良相の3人であるが、良房は部屋のなかで清和天皇と対面しており、源信は自身の邸宅にいるので、伴善男とも対立関係のない良相であると考えられる。
1-問2……向かって左側の人物は清和天皇。普通絵巻などでは、神聖な天皇の姿は御簾の向こう側に隠されて描かれない。しかしこの絵巻では、無精髭をはやした素顔や髷までがはっきりと描かれており、極めて異例である。これは、『伴大納言絵巻』が後白河院のサロンで作成されたと推測されることから、院の権威が天皇を上回ることを示そうとしたのではないかとの説がある。また、向かって右側の人物は藤原良房だが、衣の部分のみが周囲と比べ不自然に傷み、彩色が剥落している。これは、絵巻の受容のなかで、読者たちが同部分を指し示したためと考えられる。この絵巻は伴善男に同情的に描かれ、後白河が平氏政権を批判する意図を込めたとの見方もあり、応天門の変の黒幕は本当は良房なのだと皆が指差したものとする説がある。
2-問1……DもEも、樹木を場面転換や時間の推移を表す記号として用いている。樹木はその葉の色、花、葉の有無などによって季節感を表し、絵巻のなかでの時間を示す。場面転換に用いられるのは、樹木の生の時間が人間のそれとは別次元であるとの心性に基づく可能性もある。(同じように「すやり霞」について解答した人も正解とした)
2-問2……FもGも、登場人物を裸足で描く点が共通している。Fは、事件の真相を知る舎人が検非違使に連行される場面だが、舎人のみが裸足で描かれている。これは舎人を他の検非違使の下部たちと描き分け特定させる意味があり、また舎人の憔悴ぶりを際立たせるとともに、下部たちの連行の厳しさをも表現している。Gは、検非違使の看督長が伴大納言邸の老家司に連行の名目を述べている場面で、家司が裸足となっている。これは、やはり家司の狼狽ぶりを際立たせ、連行の突然性を表現するものとされている。
3……Hで子供の喧嘩を見守る群衆のなかには、雨でもないのに高下駄を履いた女性の姿が描かれている。Iをみると、路上で排泄する人々が高下駄を用いていることが分かる。よって、これらの描かれた院政期頃、高下駄が路上のぬかるみなどを回避するだけでなく、排泄の際に着物などを汚さぬために利用されていたと想定することができる。