渦巻の文様は、なぜ世界的に生命の象徴とみなされたのでしょうか。

これも実証できるわけではないので、さまざまな解釈があります。ひとつの見方としては、やはり水を象徴するものだ、ということですね。水を生命の源泉とする見方、この世の始まりに水をみる態度は世界に広くみられますが、水自体はなかなか文様として表現することができません。日本の弥生時代の場合は、水のなかで生活する魚を描くことで、水の存在を暗示させています。ゆえに文様化するのであれば、動きのある水、すなわち波紋か波ということになるでしょう。水が湧き出すときには、水が盛り上がり、周辺へ波紋として広がります。湧水はまさに生命エネルギーの噴出を思わせますが、蕨手文や同心円文は、この様子を表現しているのではないかと思われます。渦巻き文も、その一種ではないでしょうか。ちなみに連続三角文は、海に生じる波かもしれない、などと考えています。