道長の時代、さすがに天皇との姻戚関係は、近親婚が過ぎると思うのですが…問題などはなかったのでしょうか。 / 摂関が権力を掌握するために、わざと暗愚な人間を天皇につかせることもあったのでしょうか。

知的精神的に問題のある人間が皇位に即くことは、やはり国政に支障が出ますし、摂関が種々のトラブルに対処せねばなりません。よって、「瑕疵のない人物」が即位してくれる方が、実はリスクが少なくて済むのです。摂関時代前後で顕著な問題があったのは、主に陽成天皇冷泉天皇です。前者の退位には病弱説などもありますが、基経がその乱行を問題視したというのが現在の通説的味方で、実際に『三代実録』には、内裏で乳兄弟の源益を格殺してしまったことが記されています。院政末期の慈円は『愚管抄』で、彼を暴虐の武烈天皇に準えて批判しています。