森林を伐採していたのは農民なのでしょうか、それとも林業に従事する人々ですか。 / 当時は森林伐採について、国民に知識を共有させるといったことはあったのでしょうか。もしそうした事例があったのなら、みな伐採を止めたと思います。

時期によって多様ですが、とうぜん材木を得るためならば林業関係者、草山・柴山を造るためならば農民です。安土桃山の大規模開発期は、大名や寺社から依頼を受けた林業、建築の職能を持つ人々が伐採に当たっていました。農村付近の山で、村で住宅その他に用いるような樹木伐採であれば、一般の農民にも可能でした。彼らは生活のために伐採をする、とくに柴草山の場合にはそうしなければ稲が作れず、年貢を納めることができなかったので、伐採をせざるをえなかったのです。次回にお話ししますが、それゆえに度重なる禁令によっても、土砂崩れによる災害が頻発しても、人々は伐採することを止めなかったのです。