藤原京の造営に用いた木材を、筏に組んで運搬したとのことですが、なぜそんなことが分かったのでしょう。

万葉集』巻1-50の、「藤原宮の役民の作る歌」に、「石走る 近江の国の 衣手の 田上山の 真木さく 桧のつまでを もののふの 八十宇治川に 玉藻なす 浮かべ流せれ 其を取ると 騒く御民も 家忘れ 身もたな知らず 鴨じもの 水に浮き居て 我が作る 日の御門に…」と出てきます。このような方法は、山と川が多い日本列島の林業においては一般的で、猪名部氏など林業・造船に従事した渡来系氏族も、例えば摂津国猪名川の上流から下流にかけて分布していることが確認されています。