私は、レポートに「私は〜だと思う・考える」と必ず入れて書いているのですが、自分で考えて述べた意見は、すでに多くの歴史学者が考え出している場合が多いです。私もこれまで読んできたものが先入観となっているため、「私は……」と述べても、結果的には自分の本当の意見が出せなくなっています。

自分という存在にコピーがないように、自分のものの見方、考え方も、他の誰かとまったく一緒ということはありえません。これから研究を真摯に続けてゆくなかで、きっと、あなたにしか分からないもの、気づかないものが発見できるはずです。それこそが、歴史学の主観性の最も大切な意味です。