唯物史観について初めて勉強したが、最終的に共産主義を希求していく必要があるということについては、現在の世の中の学問体系では、無理があることなのではないだろうか。

共産主義にしても、社会主義にしても、まだ人類の歴史において、その理想が実現されたことはありません。それゆえに、ソ連や東ヨーロッパ諸国が崩壊したことで、「社会主義は終わった」と判断することも短絡的です。事実、現代思想の世界では、社会的格差の拡大が抜き差しならない状態に突入し、個人と集団・国家の分断が激しさを増すという資本主義の限界を前に、再びアナキズムなどの思想が脚光を浴びています。まったくオルタナティブの選択肢を生み出すことができず、また自己修正を行うこともできず、逆に新自由主義によって傷口を拡大させている資本主義に拘泥することのほうが、よほど現実離れしているといわざるをえません。ピケティですら格差拡大を資本主義の宿命と認め、世界的富裕税の導入という単純な方法でしか未来を語ることができないのですから。