私は法学部で、歴史学のレポートといってもピンとこないのですが、歴史学の論文を書くうえで一番重要なことは何でしょうか。

とにかく史料を独自の視点で読み解き、新しい歴史像を構築することが論文の核です。そのためには、膨大な研究史の整理と批判のうえに立った問題点の指摘、史料批判の力、厳密な実証に裏付けられた想像力などが、研究主体に備わっていなければなりません。研究書や概説書を読んでまとめる、それがもっともあってはならない形で、とうぜん論文としてはありえず、レポートとしても評価できないものです。レポートに論文の水準を求めようとは思いませんが、とにかく他者の説は一学説として扱い、自分の考え方とちゃんと区別し、オリジナルの考察を展開してもらいたいと思います。