西洋には本当の意味での異類婚姻譚がない、という話が印象的でした。それはやはり、精神性の違いというか、自然に対する考え方の違いや宗教観の違いが原因の一つなのでしょうか。

少し誤解を招くような言い方をしてしまいましたね。西洋には異類婚姻譚がまったくないということではなく、人口に膾炙する典型的なパターンに、魔法にかけられ異類に変わってしまった貴人を救済する系統のものが多い、ということです。いかなる内容の物語が多く好まれるかという比較において、悲劇的な日本の婚姻譚と、ハッピーエンドに至る西洋の婚姻譚とは面白い対照をなす、と思われます。ただし、アンデルセンやグリムの収集した物語に陰湿な内容のものが多いように、ハッピーエンドに傾くのは後世の影響(とくにディズニーなど)が大きいのかも分かりません。一口に西洋といっても、ラテン系、ゲルマン系、アングロサクソン系では明確な相違があると思われます。時期を限定した厳密な比較が必要でしょうね。