多くの日本人が里山を伝統的な景観と誤解してしまったのには、どのような原因が考えられるでしょう。

ひとつには自然の回復力によって開発の痕跡がすぐに癒えてしまうため、日本人の歴史意識が極めて脆弱になったこと。もうひとつは、おそらくは第二次世界大戦の影響でしょう。戦時供出によって多くの山がはげ山になっていたため、戦後、国の政策もあって積極的に植林が進められました。このとき、里山の景観認識が一度リセットされてしまったものと考えられます。