『述異記』逸文の羅根生の話について。神の遊び場があったとするなら、その付近で生活することは許されていたのですか。

史料に「この村の傍ら」とあるように、根生が耕作した土地は、ちょうど神の領域/人の領域の境界に位置していたものと思われます。予め祭壇が立っていたように、そこは村人たちが神に供物を捧げるべき場所で、耕作などしてはいけなかったのですね。当然、村人も住んでいなかったばかりか、そこにはほとんど近づかなかったものと思います。よそ者の根生はそのことを知らず、勝手に耕作を始めてしまったので、物語に描かれたるようなトラブルが起こったのです。祭祀と開発をめぐる村人と流入者の衝突などが、もしかすると底辺にあったのかも分かりません。