メソポタミアの塩害の話がよく分かりませんでした。なぜ地下水に塩分が多量に含まれるのでしょう。また、塩害は今は防げているのでしょうか。

地下水には多かれ少なかれ塩分が含まれるもので、灌漑による塩分の蓄積は、乾燥地帯ならばどこでも警戒しなければならない問題です。エジプトでもその危険は常にあったわけですが、灌漑時の地下水位の低さと洪水による土壌洗浄が、地表への塩分の蓄積を防いできたのです。現在でも、パキスタンを中心とする南アジア・西アジア、インド、中国西北部の乾燥地帯は塩害が深刻です。これを抑止するためには、かつての洪水のように一気に水をかけて上昇してくる塩分を地下に押し戻し、かつ地表の塩分を洗浄する作業が必要ですが、広大な地域での排水は思うように進まず充分な効果を上げていない情況です。