2008-05-12から1日間の記事一覧

メソポタミアの塩害の話がよく分かりませんでした。なぜ地下水に塩分が多量に含まれるのでしょう。また、塩害は今は防げているのでしょうか。

地下水には多かれ少なかれ塩分が含まれるもので、灌漑による塩分の蓄積は、乾燥地帯ならばどこでも警戒しなければならない問題です。エジプトでもその危険は常にあったわけですが、灌漑時の地下水位の低さと洪水による土壌洗浄が、地表への塩分の蓄積を防い…

ガープ・バレイの花粉分析のグラフでオリーブの花粉量に変動があるのは、何らかの戦争が断片的に続いていたためでしょうか。

確かに都市間の抗争などでオリーブ栽培に影響が生じる場合もあったでしょうが、その上下変動は、他の植生との比較においても突出しているわけではありません。オリーブ栽培自体の技術が充分発展しておらず、収穫が不安定であったともいえるかも知れません。

本当にヨーロッパに大河はなかったんでしょうか。

もちろん、ライン川やドナウ川といった河川があり、流域には鉄器文化も存在したようです。聖なるオークなどの樹木崇拝を核とするドルイド教に基づき、広大で深い森林に定着したガリアやゲルマニアの文化は、しかしローマの度重なる遠征を受けて次第に疲弊し…

ギルガメシュの話題に出てきた、「神の一覧表」って何ですか。

祭祀を執行するためにまとめたと考えられる、神々の帳簿です。古代文明は多くの神々に対し毎日のように祭祀を行っていますので、こうした祭祀執行表ともいうべき史料は珍しくありません。

ギルガメシュ叙事詩を粘土板に書いた人ってどんな人だろう。

あまり詳しくはないのですが、やはり史官=神官であろうと考えられます。古代においては、洋の東西を問わず、歴史(往々にして神話とイコールでもある)を掌る存在は祭祀や卜占を担う存在でもあるのです。例えば、東アジアの歴史叙述は中国古代の殷王朝にお…

ギルガメシュ神話の史料を読むと、エンキドゥとギルガメシュの関係が気になります。野人の方が立場が上に感じられるのですが? / ギルガメシュが、森の王を殺しにゆくときに野人エンキドゥを同行するのは、どういう意味があるのでしょう。文明が自然を味方に付けて、より大きな自然と敵対するみたいな感じなのでしょうか。

エンキドゥは命令しているというより、ギルガメシュを励ましているのですね。物語的には、ギルガメシュはエンキドゥを心の支えにしている部分があるようで、彼が神々の怒りを得て死んでしまうと、ギルガメシュは不死への志向を強固にしてゆきます。同等の力…

ギルガメシュの神殺しを聞いていて、『もののけ姫』を思い出しました。西洋人と日本人によっての神殺しの概念は、相互に異なるのでしょうか?

次回には日本の事例も紹介しますが、実は、物語の枠組みとしては大きな相違がないのです。極めてよく似た話が、洋の東西に残っていることもあります。例えば、ヤマタノヲロチ退治だって神殺しですから、日本神話の描写もそれなりに残酷です。ヲロチは酒に酔…

神話と史実は関係があるのですか?

神話も歴史的な存在である以上、過去の時代・社会情況とまったく切断していることはありません。古代の人々が世界や宇宙をどのように認識していたか、また社会をどのような規範や秩序で成り立たせようとしていたか、何を畏怖し何を大事に思っていたか、そう…