歌が呪術的な意味を喪失するのはいつのことでしょう。

中国の『詩経』より踏襲した「歌は鬼神を揺り動かすもの」という意識は、奈良時代藤原浜成『歌経標式』、平安時代紀貫之古今和歌集』序にまで続いてゆきます。本来、宗教儀式と密接に結びついていた芸能が娯楽・芸術として確立してゆくのは中世後期、室町時代頃のことなので、歌の持つ呪術性も、その頃までは何らかの効力を保っていたと考えられます。