『カムイ伝』というマンガに、いわゆる「非人」とされる人々が牛肉を食べている場面がありました。そのような事実は本当にあったのでしょうか?

この問題についてはいずれ詳しく扱いますが、私が研究史の整理を行っている『ケガレの文化史』(森話社、2005年。学部図書、図書館地下1階210.04:Ke184)という本を紹介しておきましょう。古代の肉食は、祭祀や儀礼に伴って寺院や神社で行われましたが、それに奉仕していた人々が、いわゆる非人身分へと連綿と繋がってゆきます。奈良時代までは肉食による穢れ観は未成立でしたが、やがて制度的な忌避が発生し、屠殺を担う人々を差別するシステムが構築されるのです。