「俳優」をワザヲギと読むなど、古代の史料は訓み方が非常に特殊です。現代とあまりにも違うのは、漢字の読み方自体が変化してきたからでしょうか。

7〜8世紀は、古代国家の官人層を中心に漢字の受容が進み、倭の在来の言葉をどのように漢字・漢文で表記するかという試行錯誤が進んだ時代です。ゆえに、どのような言葉をどのような文字で表すかはまだまだ不安定であった、いいかえればその形成期であったということになるでしょう。表記の仕方としては、ヤマトことばの音に近い音を持つ漢字で表すという表音法と、ヤマトことばの意味に近い漢語を当てるという表意法がありました。「俳優」をワザヲギと読むのは後者で、つまりワザヲギの意味に近い漢語を当てたわけです。「俳優」という漢字自体をワザヲギと訓んだわけではないんですね。