今まで『ナウシカ』を感動的な話だと思っていましたが、今日の話を聞いてイメージが変わりました。でも、人間が自然を壊し、自分勝手にやっても、自然はまたチャンスをくれるという意味のように考え直してしまいましたが、それは先生の仰った「自然に対する甘え」なのでしょうか?

まさに、それが日本人の自然に対する代表的メンタリティーなんですね。それは、豊かな自然環境(自然の回復力が強い)とそれに適応した人々の生活史、政治や宗教の様々な複合的作用によって作られてきたものです。『もののけ姫』の公開当時、もっとも多かった感想が以上のようなものでしたが、講義で指摘したようにそれは誤解というべきでしょう(あまり小説や映画の見方に、正しい/誤りといった二項対立を設定したくはないのですが)。日本近代における環境破壊の激化、それに対する取り組みの遅れ、責任感の欠如は、そうした甘えに由来するのだと思います。かつて、土居健郎さんという心理学者の『甘えの構造』という本がヒットしましたが、親兄弟、世間に対する甘えの根底には、自然に対するものが根強く横たわっていると感じます。