姜維胆斗、盧植音鐘 / 杜康造酒、蒼頡制字

【レジュメの訂正点(主要なもの)】
・幾つかの点で、誤字・返り点の脱落等がありますが、ケアレスミスの範囲です。
・返り点をまたいで二字を一語に読む部分で、返り点を打つ位置が違っているようです。「整勒戎馬」(レジュメp.1-l.6)、「構成擾乱」(レジュメp.1-l.19)など
・「随会以成之曰構、言罪也」(レジュメp.1-l.15)……正しくは「付会以成之。曰構、言罪也」で、「付会して以て之を成す。構と曰ふは、罪を誣するを言ふなり」と訓じます。
・「会は既に謀反の心を持っていて、維はそのことを知り、擾乱を起こしまた計画したいと思い、これを欺いて会に勧めた」(レジュメp.1下-l.17)……下線部分の訳は、正しくは「擾乱を起こし(その隙に乗じて)蜀を復興しようと図り」となります。対応する書き下しは、「擾乱を構成して克服を図らむと欲し」。
・「長歌行短歌行、皆大率言寿命長短分定、不妄求、但当時為上レ楽也」(レジュメp.6-l.24)に対応する書き下し・現代語訳……正しくは、「長歌行短歌行、皆大率人の寿命の長短分定、妄りに求むべからず。ただ時に及びて楽しみを為すべきことを言ふなり」、「人の寿命の長い短い、それぞれに分け定められていることは、みだりに(それ以上のものを)求めてはならず、ただその時季に応じて楽しみを得ようと述べている」となります。
【注意すべき漢文訓読のスキル】
・注32の「一斗」について(レジュメp.4-l.14)……中国の度量衡は、歴代王朝によって異なります。「姜維胆斗」の場合、出典は『三国志』ですから、1斗は2.02リットル。現在の日本の尺度の約1/10です。これには注意が必要ですね。
【テーマについて】……レジュメのまとめにある「日本史を学ぶ上で、日本史において些細な出来事であっても中国と比較することで新たに見えてくるものがあるかもしれない」とありますが、大変重要です。朝鮮や中国と比較することによって、初めて日本の独自性も浮かび上がってくるわけですから。中世から近世にかけて、日本は古代以上に漢籍の知識を輸入し吸収してゆきますが、その様相には不思議な点も多々あります。例えばこの単元の「杜康造酒」に関連する杜氏という言葉、全国で酒造りの棟梁を指す呼称として一般化していますが、同時に広く浸透している「酒の神は松尾神」という信仰とはどう整合性を持つのでしょうか。本当に些細なことから、日本人の隠れたメンタリティが浮かび上がってくるように思います。