僧を還俗させて政治に参加させることについて、当の僧侶の側には反発はなかったのでしょうか。

奈良時代は、僧侶になるためには国家に公認・証明してもらわなくてはならず、試験に合格して得度が認められたものは、国家鎮護の呪術を担う官僚の一種となります。僧侶には僧侶のすべき仕事があるわけです。還俗という措置は、彼が僧侶としてよりも別の特殊技術で奉仕した方が国家に利益になると判断されたとき、命令として遂行されます。宗教者としてよりも官僚であった彼らは、それに従うことが義務づけられていたといえます。