ヤタガラスのほかに、王権と深い関わりを持った動物はいたのでしょうか。

確かに、始祖として動物を置く、一種トーテミズム的ともいえる発想は、日本古代では珍しいかも知れません。しかし神話のなかでなら、蛇の正体を持つ三輪山大物主神や、神武天皇の祖母にあたりワニ(もしくは龍)を正体とする豊玉毘売など、幾つかの例を挙げることができます。宗教学者中沢新一の考えによれば、これらは人間と動物に区別が設けられていなかった、狩猟採集時代の神話の名残といえるかも知れません。