中国から伝わった占いの話は分かりましたが、日本独自のものはないのでしょうか?また、古代にそれほど盛んだった占いが、なぜ廃れてしまったのでしょう。

例えば、よく誤解されるのですが、陰陽道は日本オリジナルのものなんですよ。確かに陰陽説や五行説は中国伝来の概念ですし、式盤などの道具も中国に原型がありますが、それらをもとにして大成された「陰陽道」という哲学体系・呪術体系は、日本にしか存在しないのです。それから珍しいものとしては、日本刀の刃に生じる模様で占いをするという方法がありますね。近世には多様な流派が生まれ、奥義を記した剣相書なども作成されています。これも中国由来とされていますが、独自な発展を遂げていますね。やはり、日本文化は加工がうまい、ということになるのでしょうか。また、科学の全盛によって占いは廃れたようにみえますが、それは用いられる分野が競合しているからです。しかし、科学には限界があり、一般に提供されている知識でも、私たち自身が実地に確認したものは少ない。そういう意味では、科学崇拝も文字通り宗教と変わらない面があり、様々な不安を包括もしているのです。一方、テレビや新聞で毎日占いの結果が放送され、政治家がブレーンとして占い師を置いているという噂がまことしやかに囁かれている。占いは現代においても、未だに隠然とした力を保っているように思われます。