熊は他界を背負っているとのことですが、なぜそのように考えられたのでしょう。

やはりクマ=隅、すなわち境界、周縁を指すというイメージと関わりがあるものと思われます。熊は、境界領域から出現するゆえにクマなんですね。前近代の境界領域とは、他界もしくは他界への入り口ですから、熊は名前自体が他界を体現しているともいえるのです。具体的にはその境界とは山地、森林のこと。あるいはその巣穴こそ、精霊世界への通路だと思われていたのかも知れません。