桃太郎が鬼退治に連れてゆく犬、猿、雉にも、辟邪の力があったのでしょうか。

上の吉備の伝説では、吉備津彦の連れていた家来は犬飼健(いぬかいたける)・楽々森彦(ささもりひこ)・留玉臣(とめたまおみ)の3人で、これがそれぞれ犬・猿・雉のモデルになったといわれます。これには異説も多々ありますが、東北の鬼門と対をなす方向である申・酉・戌を起源とするのが妥当でしょう。桃は、中国戦国時代の『睡虎地秦簡』、『春秋左氏伝』昭公四年(前538)条にも辟邪の道具として登場するので、桃太郎の思想的裏付けは極めて中国的、陰陽・五行説に基づくものといえるでしょう。