『叡山大師伝』の事例をみて『西遊記』を思い出しました。やはり土地神のような存在が出ていましたが、同じようにシンクレティズムの属性があるのでしょうか。

西遊記』も、確かに神仏習合の世界が前提ですね。しかも玄奘の天竺訪問がモチーフになっていますので、仏教優位に作られています。天帝や泰山府君太上老君などの道教の神々も登場しますが、彼らは釈迦を師と仰いでいるわけです。孫悟空自身が道教的な存在(不老不死を獲得し、天界に職を持つ行者)で、彼が旅を通じて仏教の極意を学んでゆくことがメインのストーリーですので、そういう意味では、道教が仏教に従属する様子を描いているといえるかもしれません。