署神の成立の年代などが気になりました。また、『捜神記』などに似た話はないのでしょうか。

祭署そのものの成立年代を推測するのは、史料的に非常に困難です。ひとつのポイントは経典を記す東巴文字の成立上限で、これは14世紀頃といわれています。文字のうち「帝王」を示すものが、モンゴル帝国のハーンの姿を写しているため、雲南がその影響下にあった14世紀を始原と考えるのです。もうひとつは、アニミズムの古態から類推した、祭署の形式的な「新しさ」が問題です。森羅万象のそれぞれに個別の神霊が宿るのがアニミズムの古い形とすれば、半人半蛇の統一された姿をした署神が自然全体を表象する信仰のあり方は、かなり整理・体系化された新しいものとみることができます。やはり、古代まで遡ることは難しいでしょう。