中国では、美女に心を奪われ政治を顧みなくなった皇帝を改心させるため、美女を殺してその腐乱過程を絵に描き、皇帝へ送ったとの話があります。日本ではそのような使い方はしなかったのでしょうか。

そういう話は残っていませんが、ご指摘の内容も僧侶の使用の仕方としては理に叶っています。中国の著名な僧侶の伝記集である『高僧伝』には、「女性を死体として認識する」死想観を実行し、美女や美女に化けた鬼神の誘惑から逃れたという話も出て来ます。いずれにしろ、目の前のものに動揺しやすい弱い人間の心に、世界の無情を自覚・認識させるための方法なのです。