仏教の経典には何種類かあるようですが、何がそれぞれ違うのでしょうか。福音書にも何種類かあるのと同じようなものでしょうか。
これは、当たり前のように説明していて失礼しました。仏教の経典の数は、福音書の比ではありません。仏教が誕生し、釈迦の教えを書物として編纂するようになってから、厖大な数の経典や注釈、それらに基づく論著が生み出されてきました。中国では仏典の漢訳事業を進めるなか、その収集・分類・真偽の判断を盛り込んだ目録を作成し、その目録に準拠した経典群をまとめてゆきます。これを「一切経」「大蔵経」などと呼称しました。日本古代に大きな影響を与えた、8世紀前半編纂の『開元釈教録』という目録では、実に2278部7046巻の仏教典籍が掲げられています。それぞれの書物はテーマにしていることも違いますし、同一テーマでも異なる考え方、学説が様々に分かれていますので、そこから学派や宗派といったものが分立してくるのです。