青梅の方の神社ではいまでも卜占を行っていると仰っていましたが、具体的にどこでしょうか。

青梅市の武蔵御岳神社ですね。毎年1月3日に行われる太占祭がそれです。ほかに、あきるの市の阿伎留神社、群馬県富岡市貫前神社などでも鹿卜の風習があります。鹿卜自体は、弥生期の日本列島に広く分布し、鳥取県の青谷上寺地遺跡では、一箇所から200もの卜骨が出土しています。しかし古墳期になって、熱卜の方法は亀卜へ移行し、鹿卜は急速に衰えて関東北部に残存するのみになってしまいました。この地域は鹿島神の権威が強く、鹿が神聖視されていたうえに、鹿卜を職掌としていた占部が多く分布していたのが原因と考えられます。