神―亀―人との三項関連で考えると、浦島太郎伝説も同じ見方で捉えられるのでしょうか。亀=神ではないのですか。

浦島太郎伝説については、「丹後国風土記逸文浦嶋子伝が原型で、大宝律令の編纂者でもあった伊余部馬飼が丹後守時代に筆録したものです。馬飼は『懐風藻』にも漢詩採録されており、持統朝の撰善言司にも任命された当代一流の学者でした。奈良朝の文人たちの学風は多く六朝的で、神仙思想の影響を強く受けていましたので、浦嶋子伝にもその傾向が強く窺えます。同伝においては、亀は仙女の化身で、浦嶋子を蓬莱(「とこよ」と訓じられます)=神仙境へ誘います。亀も不老不死との繋がりから、神仙思想に結びつけられているのでしょう。いずれにしろ、極めて中国的な言説です。