斑鳩寺=法興寺というように、建造物には2つの名前を持つものが少なくないように思いますが、どうしてですか。

前者は地名で通称、後者はその寺の意義を示した名前で、こちらが正式名称ということになるでしょう。このほか、寺が大規模な存在になってくると、領域内に所属する中小の道場は○○院と呼ばれたり、僧侶の生活する施設は○○坊と呼称されるなど、名称の付け方が複雑化してきます。また、一山に伽藍を構えるような寺院は、中国に倣って○○山という山号を有するに至ります。こうしたすべての呼び方が次第に本来の意味を失い、通称化してきますと、類似の名称を持つ寺院がその区別のために、○○山○○院○○寺と、山号院号・寺号すべてを重ねるような事例も出てきます。この場合、山号には、やはり地名が入る場合が多いですね。