『日本書紀』の崇仏論争記事に関する記述は中国を目指したがための創作であったとのことですが、そうだとして、崇仏論争のような史実はまったくなかったといいきれるでしょうか。

いいきれませんね。ただしお話ししたように、日本が外来宗教に大して排他的な行動を取ったという事例はほとんどなく、その意味で極めて例外的な事態だということになります。安土桃山から江戸期に至るキリスト教弾圧も、宗教的感情からの拒絶反応ではなく、政治的な思惑に由来するものであったことは周知のとおりです。弾圧前のキリスト教は、庶民にも武士階級にも多くの信者を獲得していました。