気温の寒冷化が集権化や政治の転換に結びつくロジックがよく分かりません。 / 2頁の表の「森林利用」のところに、なぜ「東大寺大仏の造営」があるのか分かりません。

寒冷化が進むと概ね農業の収穫は落ち込みますし、山林から採集できる食用植物・果実・堅果類も減少します。温暖期と同様の人口を保持しようとすれば、技術開発や労働力の集中を行い、収穫力を高めてゆくしかありませんが、そのためには複数の共同体を統率・指導してゆく権力が必要となってきます。こうして強大な首長が誕生する一方、政治集団同士はお互いの生き残りをかけて離合集散を繰り返し、あるいは戦争し、結果として強大なクニが成立してゆくことになるのです。なお東大寺の大仏については、その造立過程で大量の建築材(大仏原型の骨組みは木製です)、金属を溶融するための薪炭材が必要とされました。大仏殿など、当時日本最大の建築物のひとつでしたので、奈良前期より続行されていた平城京平城宮の建築工事と併せ、奈良周辺の山々の森林をかなり危機的な情況へ追い込んだことが想定されます。